お知らせ
2023.03.20
教科書「緊急被ばく医療マニュアル 第2版」を出版しました
『放射線健康リスク科学ー放射線生物学・放射線防護・被ばく医療ー』で網羅できない「被ばく医療」の内容を記述した書籍を出版いたしました。『緊急被ばく医療マニュアル』の第一の目的は、原子力災害・放射線事故の際に初期対応する医師が、被ばくした可能性がある患者を診察し、被ばくの有無を判断し、被ばく線量を推定し、早期に必要な診療を開始するための実用書として役立つことです。本書の第二の目的は、実際に放射線障害を治療するために必要な放射線障害の症状と治療の概略を示すことです。
本書の構成は、「Ⅰ 総論」、「Ⅱ 東海村JCO臨界事故での経験」、「Ⅲ 各論」からなります。「Ⅰ 総論」の主要部分は、急性放射線症候群の診断・治療の専門知識を提供している米国政府機関のREMM*とREACT/Ts†、欧州委員会のMETREPOL‡に基づいています。「Ⅱ 東海村 JCO 臨界事故での経験」では、実際に被ばく患者を診療した前川和彦先生と田中秀治先生、および染色体による線量評価に関わった神田玲子先生が執筆しています。「Ⅲ 各論」では、臓器別の放射線障害の症状と治療について、それぞれの専門家が放射線障害の実際の画像を多く用いて執筆しています。全ページフルカラーで、放射線による皮膚障害や消化管障害を視覚的に理解できます。
*REMM:Radiation Emergency Medical Management)
†REACT/Ts:Radiation Emergency Assistance Center/Training Site
‡METREPOL:MEdical TREatment ProtocOLs for Radiation Accident Victims
書籍名:『緊急被ばく医療マニュアル 第2版』
(細井 義夫・監修)
・POD版 全280頁、フルカラー、A4判 4,840円
・Kindle版 480円
内容(全11章)
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第1A章
放射線の基礎知識 -
第1B章
臓器・組織の放射線障害と急性放射線症候群 -
第1C章
外部被ばくと内部被ばくの線量評価 -
第1D章
放射線緊急事態における個人用保護具(PPE) -
第2A章
外部被ばくの治療 -
第2B章
内部被ばくの治療 -
第3章
東海村JCO臨界事故 -
第4章
高線量被ばくによる放射線皮膚障害とその治療 -
第5章
染色体異常を用いた線量評価の課題 -
第6章
放射線による骨髄抑制の治療(サイトカイン療法と造血幹細胞移植) -
第7章
放射線治療による下部消化管障害 -
第8章
放射線皮膚障害と脂肪幹細胞移植による治療 -
第9章
頭頸部および食道の放射線障害とその治療 -
第10章
被ばく医療におけるリスクコミュニケーション -
第11章
染色体を用いた線量評価の概要